海賊


 

あらすじ

 

コンラッドは海賊の絶対的な首領。若い時に人生に絶望し、平然と悪事を重ねて来たコンラッドだが、そんな彼にも人間らしいところが残っており、美しい妻メドラを唯一の希望として深く愛していた。

 

そんなある日、トルコのパシャ(太守)、ザイードが海賊島を襲撃しようとしているという知らせが届く。コンラッドは迷わず先制攻撃を仕掛けようと、夜のうちに敵の軍隊が集結するコロンの入り江に向かう。

 

海賊たちは、勝利の前祝に浮かれるトルコ軍を急襲する。不意打ちをくらったザイードはじめトルコ軍は浮き足だって逃げ出した。コンラッドの命令で街には火が放たれるが、ハーレムから悲鳴が聞こえたため、コンラッドは危険も顧みず、女たちを救うために燃え盛るハーレムに飛び込んだ。そしてコンラッドはザイードの愛妾である美しき奴隷グルナーレをその腕に抱いて救出したのであった。

 

ザイードの寵を受けながらも奴隷として心の尊厳をふみにじられてきたグルナーレは、何の見返りも要求せず助け出してくれたコンラッドの高潔な姿に胸がときめくのをおさえる事ができなかった。

 しかし海賊が少数である事に気がついたトルコ軍が戻って来て、海賊たちは壊滅状態となります。負傷したコンラッドは囚われの身となり重い鉄の鎖で身体を縛り上げられ、高い塔に閉じ込められ死刑を待つ身となった。

 そこへグルナーレが現れ、お慕いするあなた様をお助けしたい、と申し出た。コンラッドは、自分には愛する妻がいるし、もう死ぬ覚悟はできている、とグルナーレの申し出を断るが、情熱に燃えるグルナーレの心は変わらなかった。そんなグルナーレは、生き地獄に現れた美しい幻、天使のように、コンラッドに思われる。

 

グルナーレはザイードにうまく取り入ってコンラッドの死刑を延期させようとするが、嫉妬深いザイードはグルナーレとコンラッドの仲を疑い、海賊の命どころかお前の命も容赦しないぞ、とグルナーレを恫喝した。その居丈高な態度にグルナーレの中で何かが切れてしまい、何としてもコンラッドを助け出し、彼と共に逃げようと決心した。たとえ主人であるザイードを殺す事になろうとも。 

 そして準備を整えたグルナーレは再度コンラッドの元に現れ、懐剣でザイドを殺すように、と促した。コンラッドは優しくかよわいはずのグルナーレの恐ろしい言葉に驚き、その申し出を拒否するが、それならば私が自分でやりましょう、と言ってグルナーレは消えた。コンラッドは驚いて後を追うが、ザイードの部屋から出て来たグルナーレの額には殺人の印である血痕が刻印されていた。

 そのままグルナーレに促され、コンラッドは船に乗ってコロンの街を離れたが、助かったにもかかわらず、心は重かった。心ひかれた美しい手弱女のイメージは今やグルナーレから失われた。たとえ自分を助けるためであったとしても、コンラッドにとって人を殺めた女はもはや女ではなかったのだ。コンラッドはグルナーレに最初で最後の接吻を与えるのみだった。

 そしてコンラッドはメドラの待つ我が家へと戻ったが、そこで彼が見たのはメドラの屍であった。コンラッドが敵に生け捕りにされたと聞いたメドラは自ら命を絶ったのである。コンラッドの中で何かが崩れた。すべての希望を失った彼はひたすら泣き続けた。

 翌日、コンラッドの姿は島から消えていた。以来、その行方は誰も知らない。

 

 


 

役柄・登場人物一覧

 

メドーラ
コンラッド
ギュルナーラ
アリ
ランケデム
ビルバンド
セイド・パシャ
パシャの家令
詩人バイロン
淑女
紳士
海賊の女(ソリスト)
海賊の女たち
パシャの妻たち
海賊たち
トルコ兵
奴隷商人
商人
パシャの駕籠かき
オダリスク
踊り子たち
花園の踊り子たち

・参照サイト:スタジオマーティ